この記事の要点
- Salesforceは、2025年2月から2026年4月までのAgentforce利用データを分析しました。
- 組織あたりの有効化済みエージェント数は、過去1年で約3倍に増えました。
- AIエージェントは、短い返答だけでなく、記録の参照、判断、更新などの作業へ広がっています。
返答するAIから、仕事を進めるAIへ
今回のSalesforce発表で見えたのは、AIエージェント(人の代わりに手順を進めるAI)の役割変化です。AIは返答係から、業務実行の入口へ移っています。
Salesforceは、Agentforceプラットフォームの集計利用データをもとに、企業がAIエージェントをどう使っているかを分析しました。対象期間は2025年2月から2026年4月です。
ここで大事なのは、AIが賢く話すかどうかだけではありません。記録を読み、条件を見て、必要な処理を起こす方向へ進んでいる点です。
増えたのは台数だけではありません
組織あたりの有効化済みエージェント数は、過去1年で約3倍になりました。用意された後、企業は平均2日でエージェント作成に入り、その時間は分析期間全体で53%短くなったとされています。
これは、導入が特別な実験から日常の設定作業へ近づいたことを示します。AIを入れる話から、どの業務に置くかの話へ移っているのです。
Salesforceは、Agentic Work Unit(AIが完了した1つの作業単位)という指標も使っています。2026年4月時点で、AgentforceエージェントのAWU出力は15%の複利月間成長率で増えています。
小さな仕事を大量にさばく現場
Salesforceは、導入の型を大きく2つに分けています。消費者向けの業界では、大量で決まった作業を速くこなす使い方が目立ちます。
小売は月間AWU出力の22%を占め、2025年2月から2026年4月までにAWUが18倍になりました。旅行も月間出力の10%を占め、同じ期間に7倍へ伸びています。
こうした現場では、AIが一つの巨大な判断をするというより、問い合わせ、注文状況、配送追跡、よくある質問のような作業を何度も処理します。量が多い仕事ほど、AIエージェントの出番が早く来ます。
複雑な仕事へ入る業界もある
一方で、製造、金融、公共、ヘルスケアのような業界では、複数の手順をまたぐ使い方が目立ちます。AIエージェントは単純作業だけの道具ではなくなっています。
平均的なエージェントが扱えるスキル数は、2025年初めの2から年末には6へ増えました。小売の繁忙期には、平均的な小売エージェントが9のスキルを扱えたとされています。
SalesforceはSiemensの例も挙げています。Siemensは7つの事業部門と18,000人の販売担当を持ち、週に2,800件の未精査リードを扱っていました。Agentforceは、リード対応と情報収集を複数エージェントの流れに分けたと説明されています。
発表で分かる範囲
今回の発表は、Agentforceの新機能発表というより、企業利用の変化を示すデータ発表です。価格や新しい提供開始日の発表ではありません。
| 項目 | 発表で分かること |
|---|---|
| 発表日 | 2026年8月7日 |
| 分析期間 | 2025年2月から2026年4月 |
| 対象 | Agentforceを継続利用した企業の集計利用データ |
| 新しい提供時期 | 発表に書かれていない |
| 新料金 | 発表に書かれていない |
読者にとっての焦点は、いつから新機能が使えるかではありません。すでに企業の中で、AIへ渡す仕事の単位が細かくなっていることです。
職場のAIは、画面の外へ出ていく
Salesforceは、AIエージェントがテキスト生成より多くの実行アクションへ進んでいると説明しています。返事を書くAIから、注文を調べ、規則を適用し、返金や予約変更につなげるAIへ近づいています。
小売では、AIエージェントを使った企業の年末商戦の売上成長率が、使わない企業より4倍高かったとされています。発表では、利用企業が8%、非利用企業が2%の前年比売上増として示されています。
これは、AIが人の仕事を丸ごと置き換える話ではありません。人が毎日ほどいていた小さな手順の束を、AIに渡せる場面が増えているという変化です。
- Salesforce「Salesforce Agentic Enterprise Index: Agent Deployments More Than Double Year over Year」元記事へ