この記事の要点
- Salesforceの第2回Agentic Enterprise Indexで、顧客企業のagentic workforceが前年比2倍超になったとされた。
- 平均エージェント数は2025年2月の5から2026年4月の13へ増えた。
- 提供開始日、料金、対象プランは新機能発表ではないため発表に書かれていない。
AIを人員として数える発表
Salesforceの発表で目立つのは、AIエージェントを人数のように見ている点です。agentic workforce(仕事を実行するAIの集まり)が、前年比で2倍超になったとされています。
これは、AIが相談相手から実行役へ進む流れです。AIエージェントは、会話の外へ出始めています。
AIに文章を書かせるだけなら、仕事の入口は人間側に残ります。けれど、手順の一部をAIが進めるなら話は違います。
たとえば問い合わせを受け、必要な情報を探し、返答や処理へ進む。そうした流れの中にAIが入る姿が見えてきます。
5体から13体へ増えた15カ月
Salesforceの第2回Agentic Enterprise Indexは、顧客のAIエージェント利用の変化を追っています。対象は、分析期間中の毎月、本番環境(実際の業務で使う環境)でエージェントを稼働させていた顧客です。
期間は2025年2月から2026年4月です。平均エージェント数は、5から13へ増えたとされています。
月次複利成長率(毎月の伸びを複利で見た率)は7%でした。小さな試験導入が、少しずつ業務の中へ広がった様子が読み取れます。
ここで大事なのは、単にAIツールの契約数が増えた話ではないことです。仕事を分け持つ単位が増えています。
作業量を測ろうとする動き
Salesforceは、AIの価値をトークン(AIが扱う文字や情報の単位)だけで見ない姿勢も示しています。トークンは、AIがどれだけ話したかを測りやすい単位です。
一方で、仕事の現場で知りたいのは会話量だけではありません。どれだけ作業が終わったかのほうが、肌感覚に近いはずです。
そのためSalesforceは、Agentic Work Unit(AIエージェントが完了した仕事を数える単位)という考え方を出しています。AIが道具を呼び出し、手順を進めるところまで含めて見ようとしています。
発表では、エージェントが本番投入までにかかる時間も短くなっているとされています。さらに、使われ始めた後の作業量も増えていると説明されています。
サービス業務から入りやすい
Salesforce側の説明では、業界横断で最も一般的な入口はサービス業務だとされています。サービス業務とは、顧客対応や問い合わせ対応のような仕事です。
ここはAIエージェントの意味が見えやすい場所です。人が毎回探していた情報を、AIが業務の流れで扱えるからです。
ただし、すべての業界が同じ速度で進むわけではありません。発表では、より高度なエージェント網を築いている業界として、次の領域が挙げられています。
・製造
・金融サービス
・医療・ライフサイエンス
発表に書かれていない条件
今回の発表は、新機能の発売告知ではありません。顧客企業でのAIエージェント活用の広がりを示す調査発表です。
| 項目 | 発表での扱い |
|---|---|
| 提供時期 | 新機能の開始日は書かれていない |
| 料金 | 発表に書かれていない |
| 対象条件 | 対象プランや地域は書かれていない |
いつから使えるのかを知りたい読者には、ここは大切です。今回わかるのは、利用条件ではなく、実際の業務でAIエージェントが増えているという事実です。
仕事は置き換えより組み替えへ
このニュースを、人間の仕事が一気に消える話として読むと粗くなります。むしろ見えているのは、仕事の分解です。
人が判断し、AIが調べ、AIが処理し、人が全体を見ます。仕事は職種ごとではなく、手順ごとに組み替わっています。
非エンジニアにとっての意味は、AIの仕組みを作ることだけではありません。自分の仕事が、どの手順に分かれているかを言葉にできることです。
AIエージェントが増えるほど、人に残るのは丸投げではなく設計です。どの作業を任せ、どこを人が見るか。その線引きが、職場のAI活用を左右していきます。
- Salesforce「Agentic AI workforce is more than doubling year on year, says Salesforce」元記事へ