AIにも会社の受付が必要になる
Cloudflareが2026年8月5日に発表したCloudflare OSは、AIのための社内作業台です。社員がAIエージェント(作業を自分で進めるAI)を安全に使うための基盤として示されました。
たとえるなら、AIに会社の受付と入館証を渡す話です。便利なAIを、勝手口ではなく正面玄関から入れる設計です。
AIツールは、個人で試すだけなら身軽です。けれど会社の顧客情報、営業情報、社内データに触れると話が変わります。
Cloudflareの発表では、営業部門の社員が複数のAPIキー(外部システムにつなぐ鍵)を求めた出来事が紹介されています。便利なSuperAppを作りたいという動きが、Cloudflare OSへ向かう出発点になりました。
道具箱だけでは事故が起きる
AIを社員に配るだけでは、仕事はきれいに変わりません。Cloudflareは2025年、情報チャットや定型コードの補助など、慎重な範囲でAIを使っていたと説明しています。
その後、AIエージェントが実際に作業できる段階に近づきました。技術職だけでなく、非技術職の社員もAIで何かを作れるようになりました。
ここで道具箱の問題が出ます。ハンマーだけ渡せば、何でも叩きたくなります。AIでも同じです。
Cloudflareは、非エンジニアに開発者向けの作業環境を少し優しくして渡すやり方を失敗と見ています。コードを書く道具を広く渡すと、問題を解く前にアプリが増えすぎるからです。
メール係が本当の仕事を見つけた
Cloudflareは、非エンジニアの使い方を探るために面白い実験をしました。社員がやりたくない仕事を送る、AIメールボットのような窓口を用意したのです。
裏側では小さなチームがAIツールを使い、依頼に対応しました。数百回、さらに数千回のやり取りを通じて、社員が自動化したい地味な仕事の型を見つけたとしています。
この流れから、スキルファイルや文脈ファイル、データ接続、出力の種類が作られました。つまりCloudflare OSは、机上の構想だけで作られたものではありません。
社員が実際に嫌がる作業から逆算されています。AI導入の近道は、派手なアプリ作りではなく、退屈な仕事の発見にありました。
Cloudflare OSが鍵を管理する
Cloudflare OSの初期版は、Cloudflareのインフラ上のコンテナで動く作業環境でした。社員はブラウザからアクセスし、Cloudflare Zero Trust(信用せず権限で守る仕組み)で認証します。
社内データとの接続にはModel Context Protocol(AIツールと業務システムをつなぐ規格)のPortalが使われます。利用者の権限は、その人が元から持つ権限に合わせて絞られます。
AI推論(AIが文章や判断を生成する処理)はAI Gatewayを通ると説明されています。Cloudflareは、やり取りのフィルタリング、記録、監査ができるとしています。
Data Loss Prevention(機密情報の持ち出し防止)のルールを使い、特定のデータがAI提供者へ送られないようにする例も示されました。
v2は作業をアプリに変える
Cloudflare OS v2では、利用者が自然言語でワークフローを説明します。AIエージェントが、そのワークフローを動かすコードを作ります。
作ったエージェントは、必要な時に動かせます。スケジュールやイベントをきっかけに動かすこともできます。
発表本文では、料金や外部利用の対象条件は発表に書かれていないと読めます。発表日は2026年8月5日で、社内で使ってきた仕組みを共有する位置づけです。
| 項目 | 発表本文で読める内容 |
|---|---|
| Cloudflare OS v1 | ブラウザ上の作業環境 |
| Cloudflare OS v2 | 自然言語からワークフロー用コードを作成 |
| 実行方法 | オンデマンド、スケジュール、イベント起点 |
| 料金 | 発表に書かれていない |
Cloudflareが示したのは、AIに仕事を丸投げする未来ではありません。人が責任を持ち、AIが道具と道具作りを担う未来です。
会社でAIを使うとは、賢いチャットを増やすことではありません。社員が触れるデータ、通れる通路、止める場所を決めることです。