検索する前に、AIへ聞く人が増えました
Salesforceは、買い物の入口が変わっていると発表しました。AIチャットや小売サイト内のAIアシスタントから、商品探しを始める人が増えています。
中心にあるのはAgentic Searchです。これは、AIエージェント(人の代わりに手順を進めるAI)に近い検索体験です。買い物の最初の一歩としての利用は前年比200%増でした。
いままでの買い物は、検索窓に言葉を入れるところから始まりました。そこから比較サイト、商品ページ、レビューへ進みました。
しかしAIチャットでは順番が変わります。「通勤用で軽いバッグがほしい」と聞くと、AIが候補を絞ります。店に来る前に、ほしい商品の輪郭ができるのです。
ブランドがいない場所で、候補が決まります
今回の変化で大きいのは、買い物の主導権です。顧客はブランドのサイトに来る前に、AIの中で選択肢を作り始めます。
Salesforceは、世界のコマースサイトにまたがる15億人の買い物客の実活動を行動シグナルとして挙げました。AIチャットからの流入は、前年比で150%〜428%増えたとしています。
ブランド側から見ると、入口が分散しています。自社サイトだけでなく、AIアシスタント、SNS、デリバリーアプリが入口になります。
店頭で声をかける前に、別の場所で接客が始まっている。そう考えると、今回の数字は単なる検索トレンドではありません。
期待値も、同時に上がっています
Salesforceの発表では、コマース責任者の86%が、AIが顧客期待の水準を上げていると答えています。便利な回答に慣れた人は、ECサイトにも同じ速さを求めます。
同じく86%のコマース責任者は、今後1年の商品発見にLLM(大規模言語モデル)が不可欠になると見ています。LLMとは、大量の文章を学習して会話や要約を行うAIです。
ここで重要なのは、AIが商品説明をうまく言い換えるだけではない点です。顧客の質問から、候補選びや比較の流れまで入り込みます。
つまりEC担当者に求められる仕事も変わります。検索結果に出す発想から、AIが参照しやすい商品情報を整える発想へ近づきます。
まだ全員が使っているわけではありません
発表は、導入の温度差も示しています。Agentic AI(自律的に作業を進めるAI)を現在使っている組織は、3分の1未満です。
一方で、未導入組織の約半数は、今後6カ月以内の展開を予定しています。導入済み組織の71%は、すでに成果を上げているとされています。
提供条件は次の通りです。今回の記事は市場動向の発表であり、特定製品の発売案内ではありません。
| 項目 | 発表で確認できる内容 |
|---|---|
| 提供時期 | 発表に書かれていない |
| 料金 | 発表に書かれていない |
| 対象条件 | 発表に書かれていない |
| 主な対象領域 | 小売・EC |
数字の勢いだけを見ると、すぐ全社導入したくなります。けれど、Salesforceは別の注意点も示しています。
AI成功指標とKPIを完全に定義している組織は32%だけです。勝ち方を決める前に、勝っているように見えている企業もあるのです。
ECの仕事は、AIに読まれる準備へ向かいます
非エンジニアにとっての意味は明確です。AI時代のECは、商品を並べる仕事から、AIに正しく選ばれる仕事へ広がります。
たとえば商品名、用途、素材、サイズ感、返品条件。人間には当たり前に見える情報でも、AIが比較に使える形で整っていなければ候補に入りにくくなります。
顧客は10本の青いリンクを順に開くとは限りません。先にAIへ聞き、ある程度納得してからサイトへ来ます。
そこでサイトが担う役割も変わります。最初の説明ではなく、AIが作った期待を裏切らない確認の場所になります。
この変化は、EC担当者だけの話ではありません。営業、商品企画、カスタマーサポートも同じ流れの中にいます。AIが最初の聞き役になるなら、会社の情報設計そのものが接客になります。
- Salesforce「Shopping’s New First Step: Agentic Search Grows 200% as Purchase Journeys Start in AI Chats」元記事へ